Nathan LaneとMatthew Broderickによるブロードウエイミュージカル「The
Producers」を見た。1968年にアカデミー賞を取った同名の映画を作者Mel
Brooks自ら舞台用に書き下ろし2001年に多くのトニー賞を受賞した話題のミュージカルである。チケットはブローカー達によって即完売、兎に角凄い人気で、特に私の見たのはオリジナルメンバーによる3ヶ月限定の最期の週だったので(因みに2人は1週間$100,000という契約!)良い席は$1500くらいにまで引き上げられていた。事前の頼りになる情報のお陰で当日麻薬取引のようにしてチケットを手に入れ、鑑賞してまいりました。
うーん……。ニューヨークの小さな劇場のバルコニーで、私はNathan
Laneと同じ時代に生きていることに泣いて感謝した。この目で彼の演じるMax
Bialystockを見ることが出来た幸せに痺れた。
40年昔にナチズムや同性愛という難しい題材を笑いにしたこの物語は今見ても革新的だし、作者本人が書いた曲も詩も信じられないほど楽しい。しかしナント言ってもNathan
Laneの魅力的なこと…。彼のことをLiving Broadway legendと呼ぶ人もいる。彼は確かに違う。何かが違う。何かがとんでもなく優れていて魅力的だ。もしかしたらそれは彼がゲイであること、それをオープンにしていることと関係しているかもしれない。もしかしたらアルコール中毒から立ち直った事と関係しているのかもしれない。
舞台芸術や音楽はDVDやCDで何度も楽しむことが可能である。しかし絶品の作品と絶品の役者(演奏者)、そしてそれを受け入れる側の状態やタイミングなど、ライブで全てが一致した時のエクスタシーは、再現されたものを見る喜びとは断然違ったものである。
深いエクスタシーを味わう為には予習は欠かせない条件だと思う。もちろん何の知識もなく鑑賞して感動することもあるが、母国語でない言語や親しみのないジャンルは理解するのに脳の色々な所を酷使するので、天国に導かれるような喜びは味わいくい。今回私の見た「The
Producers」もストーリーや音楽、配役などの予備知識が自分になければ、感動の深さも違っていただろうと確信する。
「願いは必ず叶う」ということを私はここ数年忘れていた。昔の、自分の人生に何の陰りもなかった頃のモットーであったとも言えるその言葉を、今回改めて自分に言い聞かせることが出来て嬉しく思っている。Nathan
Laneを見ることを唯一の目的として一人で出掛けたニューヨーク、私の泊まった日系ホテルのコンシェアージはコネも何も持たない素人で「難しいです」とだけ繰り返し何の役にも立たなかった。しかし結局法外なお金を支払うこともなく、法を犯すこともなく、体を売ることもなく(買ってくれる人もいないか・・)チケットは手に入り、ブロードウエイミュージカルの歴史的瞬間に立ち会うことができた。それは諦めなかったからである。手を尽くし知恵を絞り、行動を惜しまなかったからである。たかがブロードウエイミュージカルの切符一枚ではあるけど、「志を高く持ち、諦めなければ必ず報われる」ことを教えてくれた今回のニューヨーク行きは、自分にとっては大変有意義な旅だった。
念ずれば通ずるという言葉もあるけど、「念ずるだけ」ではダメです。行動を伴わない願いは叶いません。ね!?絶対アメリカで生活したいと思っている人はみんなどういう形であれ残っているでしょ?念ずるだけの人は残ってません。
今回のお勧め
「Guys
and Dolls」(1992 Broadway revival cast)
RCA
フランクシナトラがマーロンブランドに役を奪われ
(これはDVDにもなっている) 地団駄を踏んだ「Sky」というやくざな男と四角四面の真面目な女の子の恋愛物語。Nathan
LaneはここでNathan Detroitという、シナトラが演じた悪い男の役なのですが、男前のシナトラバージョンよりずっと人間くさく、兎に角歌が上手い!彼の芸名Nathanはここから取ったくらい好きな役柄だったようで、未だに語り継がれる名演です。CDで聞いて面白ければ是非ビデオなども探してみて下さい。
「Guys
and Dolls」はブロードウエイミュージカルの古典で、今でもしょっちゅう再演されているいます。もちろん「The
Producers」もまだCDしか出ていませんがNathan Laneが如何に素晴らしいか垣間聞くことができます。