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『この橋何歩、一、二、三、四、・・・・・・』 ページ 2
寄稿 : 佐々木 行(ささき すすむ)

18. 河合橋

 『なかやすみ その1』

 歩数は、両岸の橋塔あるいは橋柱の間、それがないときには橋名板近くの区切り線の間を測ります。左足から踏み出して一、二、三、四、~ 九十七、九十八、九十九、一百 その繰り返しで二百、三百、~ 九百、一千。 簡単なようで意外と難しいんです。

2.京都、大阪

 まず京都。
 出町柳の近く、高野川と賀茂川が出合うところに三つの橋が固まっている。 河合橋76歩、 出町橋106歩、 賀茂大橋174歩。ここからは鴨川と呼ばれ、 二条大橋110歩、 御池大橋同じく110歩、 三条大橋95歩(前述)。 四条大橋82歩、橋の東詰に「出雲の阿国」像がある。 五条大橋83歩、橋を渡って河原町通りとの交差点近いグリーンベルトに 「牛若と弁慶」の京人形風石像が立っている。  日本橋から西走してきた国道一号は、五条大橋から堀川通りに進み、そこで国道九号にバトンタッチして、左折南下、終点の大阪梅田新道の交差点をめざす。  一方鴨川は伏見の下鳥羽で桂川に注ぎ、やがて淀川となって大阪方面へ流れて行く。その桂川が「大堰(おおい)川」とも呼ばれている嵐山、 渡月橋は195歩(ただし、これは東詰から中洲部分までの距離、橋の全長は250メートルなので、完全に渡ると330歩ぐらいか。)

 次に大阪。

 淀川が新淀川となって新大阪駅の東南方を流れて行くところ、いくつかの長い橋が架かっている。毛馬の淀川大堰はスキップして、 天神橋筋・長柄橋(ながらばし)880歩、 新御堂筋・新淀川大橋950歩、 十三(じゅうそう)筋・十三大橋875歩。この河幅は、東京近辺では荒川(放水路を含む)とだいたい同じで、赤羽―川口間の新荒川大橋955歩、平井―新小岩間の平井大橋842歩と似たり寄ったりの長さである。

 本来の淀川が市内中心部に入ってきて西へ曲がると、 大川・天満橋188歩、大川が堂島川と土佐堀川とに分かれるポイントの 天神橋260歩、市役所北側の 大江橋105歩。 ほんの僅か中之島御堂筋を南下すると、 土佐堀川・淀屋橋73歩、それより西四百メートルに 肥後橋57歩。さらに下流の安治川、木津川、みなみを横切る道頓堀川などの 橋は数が多すぎるので割愛。

 『なかやすみ その2』

 目は常に足元と前方に注ぎ、ただひたすら数えることに集中します。橋の形、景色、川面のさまはほとんど無視。数える以外のこと、特にその橋にまつわることがらの連想など余計な頭の働きは禁物。それでも数えまちがいが生じます。古い橋には専用歩道がなく、わがもの顔に疾走する車に歩行を脅かされる場合もあります。

3.隅田川そのほか

 赤羽の岩淵水門から中央区豊海埠頭まで、三十近い数の橋が連なっている。・・・・・・  赤羽の岩渕水門から中央区豊海埠頭まで、隅田川には三十近い数の橋が連なっている。主なもの、 千住大橋125歩、 吾妻橋208歩、 両国橋220歩、 永代橋253歩、 勝鬨橋320歩。私たちがなにかの機会に見・聞したり訪ねたりするおなじみの橋は100メートルから200メートルくらいの長さ, 現在の正式名称が「荒川」とされている荒川放水路では、前述の二橋をのぞき、 掘切橋705歩、 葛西橋1,000歩(不思議なことにピッタリの数)、 荒川河口橋1060歩。 利根川、「坂東太郎」の異名をもち日本有数の長さ。河幅が広く、架かっている橋も豪快。前橋の利根橋二四八歩は別として、栗橋―古河間の 利根川橋895歩、取手―我孫子間の 大利根橋1,650歩、 銚子大橋1,370歩。最後の二橋は、渡りきるのに二十分あまりかかる。 東京―千葉の境界を流れる江戸川は上葛飾橋ほか、東京―神奈川の境目をなす多摩川は二子橋など、それぞれに大きくて歩きでのある橋が出てくるが、詳細は評略.

 ここで異色の橋を二つ。一つ目は、芝浦とお台場の間の レインボーブリッジ、公称全長一五二三メートル。この長さに足と頭とが揃ってビビったのか、三回(一往復半)測っても歩数がかなり不一致。平均をとっ2,040歩とする。一渡りの所要時間約二十五分。 もう一つは、横浜の本牧方面と鶴見方面とを結ぶ 横浜ベイブリッジ。この橋は全体の徒歩通行はできず、鶴見側大黒埠頭部の320メートルだけが 「スカイウォーク」という展望ラウンジ付き遊歩道として開放されている。通行料金六百円を払い往復833歩、百歩あたり七十二円は高いか安いか。 レインボー、ベイ両橋の特徴は、歩く部分の水面からの高さ。前者は最高地点が海面上五十八メートル、後者はほぼ平坦で平均同五十―六十メートル。遠景を眺めているぶんには大丈夫であるが、足元を見下ろしたときは足がすくむ。

  番外. 付録

 ウィーン、ドナウ川ライヒスブリュッケ、歩数記録なし。頭上に冴えわたる冬の満月に 見とれて、数えてきた歩数を忘却。(その代わりに)旧市街中心部にたつ聖シュテファン寺院の南塔頂上まで三四〇段。  ケルン、ライン川ホーエンツォレルン橋、鉄道橋と並んでおり、五八五歩。左岸にそびえるケルン大聖堂はドーム頂上回廊まで五一〇段。  ロンドン、テームズ川ウォータールー橋、歩数記録なし。映画「哀愁」のロバート・ティーラーとヴィヴィアン・リー出会いの場面を思い浮かべて、数えること失念。(その代わりに)少し下流に位置するセントポール寺院、ドーム頂上まで五三四段。  パリ、セーヌ川、ミラボー橋はじめ数多くの橋、そのうち半数くらいは渡っているが、記録なし。セーヌ両岸の名所旧跡に気をとられて歩数計測まったく意識になかったということ。(代わりに)凱旋門、屋上展望台まで二七〇段。、  ローマ、テベレ川サンタンジェロ橋、記録なし。サンタンジェロ城見学にはやり、かつ映画「ローマの休日」ダンスパーティー乱闘場面を思い出したこともあり、数えること念等になし。(代わりに)左手奥のサンピエトロ寺院、クーポラ頂上まで五〇五段。

 『あとがき』

 歩数と距離、段数と高さは一つの目処にすぎません。まず歩数や段数には数えまちがいがあります。また歩幅は、橋の歩道部分の作り、風の向きと強さ、 人や車の通行量の多少によってかなり違いがあり、並足で70センチ、早足で78センチ前後です。経験値では200メートルあたり250~260歩、これから逆算すると、650歩で500メートル、1,300歩で1,000メートル程度という見当です。 この[歩数×平均歩幅]によるアバウトの長さと公表の長さとで十パーセントぐらいの食い違いが出ても、それはそれで良いのだと納得しています。

 それから、段数は、教会・寺院・塔などその場所によって階段の高さがまちまちですから、[段数×段高]でいちがいに比較するのは困難です。構造上、 一つの建物でも石の階段、鉄の階段、木の階段、それに螺旋階段まで組み合わされていて、それぞれの段の高さがみんな異なるという場合もあります。そんな訳で、一段15 センチから20センチの間(平均17センチ)を大雑把な目安においています。

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